みなとみらいを音楽であふれる街に

「その1日が、もっと楽しい」をコンセプトに、コンサートに最適化したこだわりのアリーナ
「ぴあアリーナMM」

PIA ARENA MM

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2020年7月10日に開業した「ぴあアリーナMM」。コロナ禍でのオープンとなり、こけら落とし公演のゆずのライブは無観客の会場から演奏を配信。
大変な状況の中でのスタートでしたが、そこはエンタテインメント全般を手掛けるぴあ株式会社のノウハウを総動員して作った施設。観客と演者、双方の快適性が追求され、コロナ禍後はライブに集中できる会場として人気を博しています。今回はその魅力に迫ります。

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インタビュー

1. エントランス

JR桜木町駅、みなとみらい線・みなとみらい駅から徒歩約7分、新高島駅から徒歩8分と抜群のアクセスのよさを誇る「ぴあアリーナMM」。白を基調としたスタイリッシュな建物は、洗練されたみなとみらいエリアでも目を引きます。周辺には「ウエスティンホテル横浜」や「横浜ランドマークタワー」などおしゃれなスポットも。ライブ前に時間に余裕があれば、ちょっと足を延ばして赤レンガ倉庫や中華街など横浜観光が一緒に楽しめる立地の良さも魅力です。

2. 2階 ホワイエ

エントランス階段を上り、扉を開けるとアリーナへつながるシックなホワイエが広がります。アリーナの主役はあくまでもアーティスト。ライブの演出を引き立てるために、会場はあえて色を廃し黒と白のモノクロームで徹底しているのだとか。主張がないといっても、けして地味でなくセンスの良さを感じさせるのはさすが。館内の案内サインは港のコンテナなどに使用されるステンシル調のフォントを採用し、天井にはフラッグを模した三角サインを設置。ミナトヨコハマの洒落た雰囲気をさりげなく散りばめています。

3. 体験型コンテンツ・RENGA

ホワイエでまず注目すべきは「PIA Message Wall “RENGA”」。ジョン・レノン・ウォール(※)からインスピレーションを得た、いわば「デジタル寄せ書き」です。スマホを使って専用URLへアクセスすると、好きなツールや色でアーティストへのメッセージが描け、壁に映し出せる仕組み。壁はファンとアーティストの交流の場であり、すべてのメッセージはアーティストに届き、ときにはアーティストからのメッセージが映し出されることも! 推しと壁面を通して対話ができたら、絶対に忘れられない思い出になりますね!

チェコのプラハにある壁。ジョン・レノンにまつわるメッセージや落書き、ビートルズの曲の歌詞などがびっしりと書かれている。

取材メンバーもデジタル寄せ書きにトライ! スマホの操作が少々不安でしたが、画面の指示に従って簡単にメッセージが投影できました。

4. アリーナ

RENGA」で遊んだ後は、いよいよアリーナ内へ。面積3899.14㎡、天井高33m、最大収容人数約12,000人を誇るだけあって、とにかく広い! 広いのですが、スタンド席からステージがすごく近く見えて驚きです! なんでも3層のスタンド席を急勾配で張り出すように配しているため、最上段の最後部に座ってもステージが近く感じられるそう。アーティストとの距離まで縮まるようで、ファンにとってはたまらないですね。

また大型アリーナは室容積に比例して残響時間が長くなりやすく、音が響きすぎるのが難点。そこで「ぴあアリーナMM」は、壁や天井に吸音材を張り巡らせています。座席もクッション貼りにして、座り心地と吸音性をアップ。1万人収容時の残響時間を1.8秒程度(500Hz)とし、適度に響きが制御された良質な音響空間を実現しました。いい音楽を、いい音で。当たり前のようで難しい課題を見事にクリアしています。

縦に積み重ねられたスタンド席のイメージ図。4階席はかなりの高さ。

5. 1・2・3階「FOODIES STAND」

「その一日が、もっと楽しい」をコンセプトにする「ぴあアリーナMM」では、ライブ前後の時間をもっと楽しく快適に過ごせるように、軽食メインのフードスタンドやライブの3時間前から利用できるビュッフェレストランなど、タイプの異なる3つの飲食店を揃えています。従来の音楽ホールからは考えられないイベントと食の連携プレイで、美食とともにスペシャルな時間を提供しています。

各階に軽食スタンドを完備!

「ぴあアリーナMM」は欧米の音楽施設にならってホール内の飲食が自由。飲み物がOKのホールはありますが、フードもOKなんて日本ではまだまだ貴重ですよね。

各階のホワイエには「FOODIES STAND」があり、オリジナルクラフトビールやソフトドリンク、特製ホットドックをはじめワンハンドで食べられる軽食がずらり。好きな音楽を聴きながら、好きな一杯を傾けるなんて最高の贅沢時間が味わえます。

一方、仕事で開演時間ギリギリになってしまい夕飯を食べ損ねた!という場合も、会場で小腹が満たせるので安心。セルフレジスタイルで、注文や会計がサクサクできるのも嬉しい。

フランクフルトやワッフルなど手軽にサクッと食べられるお手頃メニューが充実。
11色のカラードリンクはファンが必ず買うという人気アイテム。推し色のドリンクを片手にライブを満喫できます。
客席にはドリンクホルダーも用意されています。

6. 3階 ホスピタリティラウンジ「CLUB38」

ホスピタリティラウンジ「CLUB38」も「ぴあアリーナMM」ならではの飲食スペース。公演実施日のみに営業し、野菜たっぷりのサラダやおしゃれなデリが好きなだけ楽しめるビュッフェのほか、カフェメニューも充実。公演の3時間前から利用でき、ビュッフェプランではなんと途中離席もOK! 早めに来場して物販で目当てのグッズを購入してから、開演までゆっくり過ごすお客様も多いそう。大人気なので利用の際は事前予約がおすすめ。チケット予約とともにラウンジも予約して、慌ただしくなりがちなライブ当日を優雅に過ごして。

※「CLUB 38」はぴあアリーナMMでのイベント開催日を中心に営業いたします。営業日時・ご予約受付期間は、ご案内ページおよびCLUB 38」公式Xにて告知いたしますのでご確認ください。

ジャズクラブのようなシックなエントランスに気分があがります。
「音楽」をイメージしたアートがそこここにディスプレイされたおしゃれな店内。
開放感あふれる大きな窓の向こうにみなとみらいの風景が広がり、非日常的な気分を盛り上げてくれます。
ビュッフェには野菜たっぷりのサラダやカラフルなデリ、別腹で食べられちゃうスイーツなど、NYスタイルの料理が満載! 「おいしくて食べすぎちゃった!!」なんてときはライブで思い切りカロリー消費を!
公演名や日付をあしらったプレートに、プチケーキやフロマージュをのせた記念スイーツも人気。写真に残せば忘れられない思い出に。
ビビッドなピンクが可愛いと評判の女性用お手洗い。ヘアスプレーやマウスウォッシュ、コットンが揃い、開演前のお化粧直しもバッチリ。

7. ALL DAY CAFE & DINING “The Blue Bell”(ホール外/2階)

「ぴあアリーナMM」の2階に併設されている「ALL DAY CAFE & DINING “The Blue Bell”」はイベントがない日も営業し、いつでも、誰でも利用できます。NYスタイルのおしゃれな店内でいただく本格的窯焼きピザやパンケーキは、レストランガイドでも高評価。また店内ではジャズライブなど音楽を楽しめるイベントも開催。「みなとみらいSTREET MUSIC」のミュージシャンの演奏も堪能できますよ

オープンエアの開放的な店内。
国産レンガを使用した特注窯で焼き上げるピザはアッツアツを召し上がれ! 趣向を凝らした具材が楽しく、ワインにもよく合います。
看板メニューのパンケーキ。「ドレッシー」をコンセプトにした華やかな盛り付けに目が釘づけ。生地にはリコッタチーズを贅沢に使い、オーダーごとに泡立てるメレンゲ効果でふわっふわの口当たり!
ベリーとスパイスを煮込んだ自家製サフトシロップを使ったレモネードや、地元ブリュワリーの「横浜ビール」と「音楽をもっと楽しむためのビール」をコンセプトに共同開発したクラフトビールもおすすめ。

★ここも見どころ! 安西水丸さんのパブリックアート

2階ペデストリアンデッキを彩るタイル画「Flying Tomato」は、日本を代表するイラストレーター・安西水丸さんの作品。もともと帝国ホテル大阪内の「フライングトマトカフェ」のために描かれ、2018年の店舗改装を機に修復を施し「ぴあアリーナMM」に移設。みなとみらいエリアを彩るパブリックアートとして再生しました。

インタビュー

右:新井貴大(あらい たかひろ)様

プロフィール:ぴあ株式会社
ヴェニュー・マーケティング事業局 バリュー創出部ブッキングリレーションユニット ユニット長

左:馬場 康(ばば やすし)様

プロフィール:ぴあ株式会社 
ヴェニュー・マーケティング事業局 運営推進部
ぴあアリーナMMユニット ユニット長
バリュー創出部ブッキングリレーションユニット

「ぴあアリーナMM」のイベント企画やマーケティング、アーティストのブッキングなどに幅広く携わる新井貴大さんと馬場 康さんに、「ぴあアリーナMM」とみなとみらいエリアの未来予想図について語っていただきました。

みなとみらいエリアと「ぴあアリーナMM」の可能性は無限大! 個性あふれる多くの音楽施設や多様な周辺企業様とともに、さらなるアリーナと街の発展を目指します

――2020年、ぴあの創業記念日である7月10日に「ぴあアリーナMM」がオープンし、約4年が経ちました。印象に残っている公演はありますか?

馬場様(以下、敬称略):2公演あります。ひとつは2021年に行ったPerfume(パフューム)のライブ「Perfume LIVE 2021[polygon wave]」で、この公演は異例ともいえる演出で記憶に残っています。通常スタンド席を設けるアリーナに一切観客を入れず、アリーナ全体を巨大なLEDステージにしたんです。メインステージはバックスクリーンから長さ50mほどあったでしょうか。ステージ周囲にも迷路のような花道を作り、Perfumeのメンバーが走り、踊りながら、さまざまな光と映像に包まれる演出が圧巻でした。コロナ禍後の収容人数規制で、通常の約半分(5,000人)しか入場できない状況を逆手に取った演出に、「こんなことができるのか!?」とスタッフながら感動しました。2022年1月には再演もしていただきました。
もうひとつは2022年の羽生結弦さん初の単独アイスショー「プロローグ」。当ホールはそもそもコンサートに特化しておりスポーツ需要はまったく想定していなかったので、まず「できるのか!?」という思いでしたが、結果は素晴らしかった。音楽ライブと変わらない華やかな演出で、当日はもちろんテレビ放映を観て再び感動してしまいました(笑)。アリーナ上に氷を作るのに3〜4日かかり、専門スタッフによる大変デリケートな作業が続きましたが、ホールの新たな可能性を見出した公演でした。おかげさまでPerfumeも羽生さんもその後、当ホールで何度も公演をしてくださっています

――実際にホール運営をされてみて、当初の予想と違ったことはありますか?

馬場:羽生さんのアイスショーもそうですが、スポーツ関連の問い合わせが多いことですね。代々木第一体育館と同じくらいの広さがあり、モノトーンのシックな内装で演出が映えるという点で、当ホールを選んでくださるクライアント様が多いように感じます。近年、格闘技などは音楽イベントにひけを取らない華やかな演出をしますから、そのような評価をいただけるのは嬉しい限りです。また、企業の入社式や周年イベントといった式典の問い合わせも多くいただいています。みなとみらいには多くの企業が集積していますから、周辺のホテルと連携し積極的に協力したいと思っています。

――過去のインタビュー(www.ymm21.jp/news/mmtn/mm.php)で「ぴあアリーナMM」の建設地としてみなとみらいを選んでくださった理由として「抜群の立地のよさ」をあげられました。開業以来4年間で立地のメリットを実感することはありますか?

馬場:日々、実感しています(笑)。まずJR、みなとみらい線、横浜市営地下鉄の3線が利用でき、最寄りと言える駅が桜木町駅、みなとみらい駅、新高島駅、横浜駅と4か所もあるのが強い。1万人規模のライブとなると入退場時の周辺混雑が大問題なのですが、みなとみらいはお客様が4駅に分散するので非常にスムーズ。周辺のご迷惑にもなりづらく助かっています。横浜駅までは徒歩18分ほどかかるものの平坦で道路も広く、ライブの余韻に浸りながら散歩気分で歩けるという声も聞きます。
エリア内に観光やショッピングを楽しめる施設が多いのもいいですね。物販目的で早めにいらしても、夜の公演まで楽しい時間を過ごせると思います。

横浜ランドマークタワーも目の前という好立地。

――開業以降、Kアリーナ横浜や横浜BUNTAIなど近隣に続々と音楽施設ができています。互いの相乗効果や複数の音楽施設がまとまっていることによるメリットは感じますか?

新井:具体的な数値は把握していませんが、音楽施設が増えれば当然横浜での公演回数も増えます。お客様の「横浜体験」が増えるにつれて「ライブのためにわざわざ横浜まで行く」という心理的なハードルが下がっている気はしますね。電車に乗ってしまえば都心から約30分、平日の会社終わりでも充分間に合うことが認知され「横浜って意外と近いし、ありだね」という印象になってきているなと。都内と横浜の心の距離が縮まっている印象です。
周辺施設との相乗効果というと、当アリーナともう1会場を使ったイベント企画が持ち上がっているところなので、ぜひ成功させてモデルケースにしたいですね。まずは2つの会場から始めて、3つ、4つと連携していけたらと思います。「みなとみらいで大きなフェスができないか」という話は、今までも出ているのですが、複数会場をまたいだ公演となると移動時間や方法、警備など解決しないといけない問題が多く、なかなか難しいんです。

――「街全体で大きなフェスが出来ないか」というお話は、Music Port YOKOHAMAの活動初期から出ていました。
これだけの音楽施設が集まれば、その話は出てきて当然ですよね。
すぐには難しいかもしれませんが、実現できる様にMusic Port YOKOHAMAとしても動いていきたいと思っています。

新井:そうですね。今すぐには難しいかもしれませんが、例えば移動方法なら5年後、10年後には自動運転のバスが走っているかもしれない。そういった先進的な技術の発展も見据えてあたためていきたいと思います。

――ぴあ主催の自主公演も増えていますか?

新井:現時点では、ぴあアリーナMMで当社が携わる公演は主催、制作受託含め年間12〜15本といったところです。今年4月に行った「SODA presents Battle of Rock ~Mission of 7 MEN 侍~」が、当社が目指す自主公演に近いと思っています。ある社員が推しのアーティストのイベントをやりたい!という情熱で企画を立ち上げ、企画、会場日程調整、ブッキング、チケット販売、物販、ライブ制作、運営、当日の取材内容を後日出版物に掲載するなど、当社のノウハウを総動員して全社横断的にひとつの公演を実現し、強みを最大限に生かせたと思っています。今後、そういう体制で行う自主公演を増やしていけるといいですね。

――社員の情熱を形にするということですか?

新井:そうですね。ただ自社の会場があって恵まれた環境とはいえ、ゼロから企画してストーリーを立て、アーティストやスタッフをブッキングするのは並大抵ではありません。それをやりきれる人材育成も課題のひとつだと思っています。

――タイの俳優の来日イベントに合わせて開催された「みなとみらいタイフェスティバル2023」や、世界最高峰のフラ競技会「メリーモナークフェスティバル」の優勝者などによるイベント「Nā Po‘okela(ナーポオケラ)」に合わせて開催された 「みなとみらいハワイフェスティバル2024」など、「ぴあアリーナMM」での公演と合わせ、会場外でも街と連携したイベントを企画・実施されています。

新井:当アリーナはコンセプトとして「その一日が、もっと楽しい」を掲げています。「その一日」とは会場内だけでの話ではなく、会場を起点として周辺エリア全体をイベントの世界観で演出し、お客様の一日の価値をもっと高められたらいいですよね。周辺エリアも活性化して街にも貢献できます。
2023年に日本で初開催されたポケモンバトルの世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」のように、みなとみらいエリア全体がポケモン一色に染まるようなレベルでできれば最高。目指すのは、ああいう世界観です。駅から会場までのデジタルサイネージを完全にジャックしたり、改札を通る際にアーティストの楽曲が流れたり。街に着いた瞬間からライブ感があり、エンタテインメントを感じられたら素晴らしいですよね。

――「Music Port YOKOHAMA」に期待することはありますか?

新井:いまはイベントの演出は主催者側が主体になっていますが、横浜市やみなとみらいエリアの受け入れ体制をさらに整えていただけると、ポケモンイベントのようなケースが作っていきやすいと思います。Music Port YOKOHAMAとともに、具体的に前進できるようにギアチェンジしたいですね。
色々と制約が多いのも事実ですが、音楽の力であらゆる壁を乗り越え「横浜では街をあげて音楽イベントを盛り上げている!」となれば、それを楽しみに人が集まり、集客力が上がればより多くのアーティストに横浜の会場を選んでもらえる……そんなハッピーなスパイラルを、ここみなとみらいで作れる事を期待しています。

 

「ぴあアリーナMM」ウェブサイト
https://pia-arena-mm.jp/index.html

これからのアリーナとみなとみらいについて楽しそうに語るおふたり