歴史と未来が交差する、人と街のサステナブル広場
「横浜赤レンガ倉庫」
Yokohama Red Brick Warehouse
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横浜港を象徴するランドマークのひとつ、横浜赤レンガ倉庫。創建から110年を超える歴史を刻みながら、今も多くの人が集う文化・商業施設として進化を続けています。
倉庫としての面影を残すレンガ造りの建物には個性豊かなショップやカフェが並び、四季折々のイベントが広場を彩ります。2022年のリニューアル以降はサステナビリティへの取り組みを強化し、横浜市の「Y-SDGs」で最上位認証を取得。伝統を受け継ぎながら未来を見据える、その舞台裏を伺いました。
インタビュー
左:小林康一郎(こばやし こういちろう)様
プロフィール:株式会社横浜赤レンガ
イベント事業部 部長 兼 横浜赤レンガ倉庫共同事業体
右:佐野秀斗(さの しゅうと)様
プロフィール:株式会社横浜赤レンガ
イベント事業部 マネージャー 兼 横浜赤レンガ倉庫共同事業体
年間を通して多彩なイベントが開催され、多くの人でにぎわう横浜赤レンガ倉庫。歴史的建造物としての趣を残しながら、文化・観光・エンターテインメントの拠点として進化を続けています。
今回は、イベント事業部の小林康一郎さんと佐野秀斗さんにインタビューを実施。横浜赤レンガ倉庫ならではのイベントづくりのこだわりや、来場者に届けたい想い、そしてこの場所が持つ特別な魅力について、お話を伺いました。
みなとみらいとともに進化中! 横浜赤レンガ倉庫が届ける“横浜らしさ”の秘密とは?
――2002年4月にリニューアル・オープンして、20数年が経ちますが、お二人が入社して以降、横浜赤レンガ倉庫のイベントやテナントなど、どのような変化があると感じていますか?
小林様(以下、敬称略):僕はもともと都内のイベント会社で働いていて、2007年に入社しました。入社後は、主催イベントや貸し出しのイベントを中心に運営に携わってきましたが、明らかに変わったのは、お客さまの数ですね。入社当時は400万人台だったのが、2023年度は800万人を超えています。あと、音楽アリーナやホテルの開業などみなとみらいエリアの環境もどんどん変わっていますね。
――お客さまの数が増えた要因はどのような理由からだと思いますか?
小林:主催イベントを増やすことに注力したからだと思います。もともと「横浜オクトーバーフェスト」や「FLOWER GARDEN」などは開催していたのですが、「クリスマスマーケット」やゴールデンウィークの「ヨコハマフリューリングスフェスト」など、2009年の開国博Y150(横浜開港150周年を記念するイベント)を境に、加速していきました。週末は、何かしらイベントをやっている状況にしたかったんです。
――特に印象に残っているイベントはありますか?
小林:やはり「クリスマスマーケット」でしょうか。2010年から始めたのですが、当時はここまで多くのお客様に来てもらえるイベントになるとは想像していなかったです。当初は規模も小さかったのですが、今では会場も2倍以上に大きくなりました。実際に本場ドイツのクリスマスマーケットにも視察に行ったのですが、ここ横浜赤レンガ倉庫でも、できるだけ本場の雰囲気を味わっていただきたくて、ヒュッテ(ドイツのクリスマスマーケットで使われる木の小屋)や装飾など、まるでドイツにいるかのような雰囲気を感じてもらえるよう目指しています。
佐野:僕は「オクトーバーフェスト」ですね。入社後に初めてプロジェクト・マネージャーを任されたイベントなのですが、いろいろな人を巻き込んで創り上げることができました。またドイツ楽団の演奏を聴きながら盛り上がっているお客さまの笑顔を見たら、「いい仕事ができたな」とジーンとしてしまいました。こちらも、本場ドイツ・ミュンヘンのオクトーバーフェストに視察に行って、横浜でもその雰囲気を感じてもらえるように工夫したことが良かったのかなと思いますね。
――横浜にいながらドイツを感じられる工夫が凝らされていたのですね。また赤レンガパークなどで、「GREENROOM FESTIVAL」などの音楽フェスも開催されています。お二人が、印象に残っているイベントはありますか?
小林:音楽フェスに関しては、基本的には主催イベントではなく会場貸出のイベントになるので、管理者としての立場で接しているため、客観的には見られないんですよ。そういった観点で見ていると、イベントの内容や人数、あと赤レンガの雰囲気に合っている装飾などもあるという点では、「GREENROOM FESTIVAL」ですかね。
佐野:我々が主催メンバーとして関わった音楽イベントもありましたね。2025年4月に初開催された「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL」ですが、独立したさまざまなイベントを同時開催するという都市型フェスで、みなとみらい地区のKアリーナ横浜やKT Zepp Yokohama、それと横浜赤レンガ倉庫では、特設会場を作り、YOASOBIやFRUITS ZIPPERなどがライブを行いました。
小林:YOASOBI良かった!感動しました。
佐野:そうですね、初めての経験も多く本当にチャレンジングな企画だったのですが、他の会場の方たちとも連携して開催することができ、とても印象に残っています。
――その「CENTRAL MUSIC & ENTERTAINMENT FESTIVAL」のように、みなとみらい地区の会場等と連携したイベントも多数行われていますよね?
小林:そうですね。例えば、「BAY WALK MARKET」という、横浜赤レンガ倉庫、MARINE & WALK YOKOHAMA、横浜ハンマーヘッド、DREAM DOOR YOKOHAMA HAMMERHEADの4施設合同で、みなとみらい臨海部をお散歩しながら楽しめるイベントを2022年から定期的に行っています。
――どのような経緯で始まったイベントなのですか?
小林:横浜市にも協力いただいているイベントで、海沿いの4施設を回遊してもらい、それぞれの施設ごとに楽しめるマーケットを展開する形で「BAY WALK MARKET」が始まりました。わんちゃんと一緒に散歩することがメイン・コンテンツになっているので、ドッグランなども用意されています。夏なら「FUN! ALOHA! in YOKOHAMA」、秋なら「横浜オクトーバーフェスト」など横浜赤レンガ倉庫主催のイベントと一緒に開催しているので相乗効果もあり、来場者も増えていますね。
――それぞれ魅力的な施設が増えている中で、連携しながら盛り上げているのですね。
佐野:そうですね。横浜赤レンガ倉庫の集客力を活かして周辺のエリア一帯を盛り上げたいという思いはあるので、引き続きみなとみらいの各施設と連携していきたいです。
――ところで、スタッフならではの横浜赤レンガ倉庫オススメ情報を教えてほしいのですが。
小林:意外と皆さんご存じないのかな?と思っているのが、2号館のバルコニーです。2階のバルコニー部分がフリーエリアになっていて、ソファもあるのでゆっくりできますよ。あと、よこはま新港合同庁舎裏のプロムナード側から歩いてくると、ちょうど桜の木があって、春は桜の木越しに横浜赤レンガ倉庫が綺麗に撮れるスポットもありますね。
――最後に「Music Port YOKOHAMA」に期待することを聞かせてください。
小林:「BAY WALK MARKET」では、初開催時から「みなとみらいSTREET MUSIC」のアーティストに出演していただき、各会場で演奏を披露してもらっています。僕がドイツのクリスマスマーケットへ視察に行ったとき、街中に音楽であふれていて、そういう現地の雰囲気がすごく良いなと思ったんです。それをこのエリア全体でも再現できたら良いなと思っているので、ぜひ実現してもらいたいですね。
佐野:僕も「BAY WALK MARKET」で「みなとみらいSTREET MUSIC」のアーティストさん達が各マーケットの雰囲気や季節に合わせた音楽を演奏してくれていて、非常にお客様にも喜ばれています。今年の「クリスマスマーケット」もそうですが、他のイベントでも、さまざまな音楽があふれていることによって、イベントの楽しさが増すことは絶対にあるので、我々としても、場所を提供して、一緒に盛り上げていきたいですね。
横浜赤レンガ倉庫 ウェブサイト
https://www.yokohama-akarenga.jp